バックナンバー集（2023年 1-6月分）
2023年の各月バックナンバー : 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月
＜＜2023年：1-6月分 エッセータイトル＞＞
05/30 ねこまんま 06/22 海の底 06/22 夏至ゆうべ 06/18 トリノスケール 06/16 煩悩の塊 06/14 タイパ 06/13
スケールの違い 96/09 アラブ首長国連邦 06/07 Rainy Season 06/02 後継問題 05/29 こわーい！ 05/26
紙と鉛筆 05/23 Windy City 05/22 かな文字文化 0519 電力値上げ 05/12 若い国 04/28 産めよ増やせよ 04/25
文字と文化 04/14 ロドリゲス選手 04/07 AIは信頼できるか04/03 インシャーラ 03/31 Retiredと無職 03/27
異人さん 03/24 なに年生まれ？ 03/17 お菓子は喜ばれる 03/16 料理の国際化 03/10 河津桜と大陸移動 03/08 北方領土問題
03/07 花と蝶 03/03 Show the flag！ 03/02 鶴の恩返し 02/24 旗日 02/17 鄭成功 02/10 世襲どうなる
02/08 サンマ塩焼きとブリ照り 02/03 必勝祈願 02/01 習近平さんに叱られる 01/31 玉手箱 01/27 早い者勝ち 01/25
スモールイズビューティフル 01/20 カラスの行水 01/13 バベルの塔 01/10 敗戦国の国民 01/06 恩知らず
2023年6月30日
ねこまんま
宮崎の郷土料理に「冷や汁」というのがある。夏、九州旅行をした際に冷や汁の名店と言われる店にいってみた。冷や汁定食のようなものを注文したが、どうせ「ねこまんま」のようなものだろうと想像していただけに、結構な値段がするのにはちょっと驚いた。
今は、猫にはキャットフードを与えるのが普通だが、タカさんの子供の頃は、飼い猫には残り飯に味噌汁の残りをぶっかけたり、せいぜい出汁をとった後の煮干しや花ガツオをパラパラと乗せたものを「猫まんま」といって与えていたもので、その所為か、ごはんに味噌汁をぶっかけて食べるようとすると「お行儀が悪い！」と叱られたように思う。
食欲が出ない暑い盛りには、どうしてもざるそばやソーメンのような、冷たい物でなければ中々食べる気がしないから、暑い宮崎では冷や汁が発達したのだと思うが―――宮崎では冷や汁を食べる子供に親が「お行儀が悪いからよしなさい！」とは言わないのだろうか？
小さい頃、例えばごはんにおでんの汁をかけてたべるいわゆる「汁かけ飯」は、「お行儀が悪い！」と叱られたように思うが、あれはタカさんの家だけだったのだろうか？（妻にきいてみたら、彼女も「女の子がそんな食べ方をするものではない！」と止められたという）
汁かけ飯、ぶっかけ飯はどうも全国的に下品、あるいはお行儀が悪い、と言われていたようだが高級料亭で鍋物を食べると最後に汁にご飯を入れて玉子などでとじた「雑炊」を仲居さんが作ってくれたりするが、あれも考えてみると汁かけ飯だと思うが―――なぜ高級料亭で出されるのだろうか――――謎だ。
イタリア料理のリゾットも、スペイン料理のカルドソにしても、生米から作るのが本物らしいが、出来上がりは要するに雑炊である。当然イタリアやスペインではあれが「お行儀が悪い食べ物」とは言われないと思うが―――。
そういえば、韓国には冷ごはんにキムチや明太子、韓国のりや生卵をいれて氷水をぶっかけて食べる究極の冷や汁料理があるらしいが―――古い日本の母親たちがきいたら―――なんというだろうか――。
（6/29/23 10:00pm S.T）
2023年6月23日
海の底
大和は全長260メートルにもなる当時の日本軍最大級の戦艦だったが、終戦4か月前に沖縄戦に向かう途中、鹿児島県の坊岬沖で撃沈された。
乗組員3300人中生存者はわずかに300人だったこともあって戦後、船体の捜索が考えられたものの広い海の底に沈んでしまった船を見つける事すら不可能であった。大和の横たわっている地点が発見されたのは戦後40年が経った1985年になってからの事である。
発見に携わった関係者の話を聞いたことがあったが、何しろ水深350メートルにもなる海底となると探索用の潜水艇でさえ潜るのが大変で、いかに大和が巨大といえども広い海底に横たわっているのを探すとなると、銭湯の大浴槽に沈んだ小さな虫ピンを探す以上難しく、当時の最新技術を駆使してさえも奇跡に近い発見だったのだという。
その後、大和の海中での様子は、事細かく調査され我々も画像などで目にしたことはあるものの、それを引きあげるとなると、技術的にも費用的にも無理であり、現在までのところご遺族もそれを望んでおられないので、「海の墓標」あるいは海中遺産としてこのまま海底に眠り続けることになるという。
客船タイタニック号が氷山に衝突して沈没し乗員、乗客1200人が犠牲になったのは大和の沈没の30年以上も前のことだが、この船体が発見されたのは大和と同じ1985年のことであるのは、その発見場所の水深が大和の10倍、水深4000メートルだったこともあるのだろう。
そのタイタニック号の沈んでいる現場を観に行くという参加費用一人3500万円のツアーに出かけた4人と艦長の計5人が消息を絶ったという。
必死の捜索が行われているが、広い海の中で小さな潜水艇の捜索となると、大和やタイタニックの発見までの時間から考えても、いかに技術発展めざましい現代でもかなり難しいのではないだろうか。艦内に残された酸素の量はもうわずかというだけに皆の命もあやういように思える。
日露戦争の最中に呉軍港の沖合で事故を起こし浮上できなくなった海軍の潜水艇に残された艦長と乗組員14名が、死の直前までその持ち場をはなれなかったという話は、戦前の修身の教科書に「沈勇」という題でのっていたという。（参照：「佐久間艇長の遺書」 8/21/00）
海の底という絶望的な場所で脱出の術もない状況―――というものは閉所恐怖症でなくても、想像するだけでも気絶してしまいそうだが―――。5人の方々に奇跡が起きることを祈るばかりだ。
（6/22/23 10:00pm S.T）
2023年6月22日
夏至ゆうべ
ある年の夏にノールウェーに遊びに出かけたことがあった。ベルゲンに泊ったのだが、夏至近かったこともあって日の入りが夜11時頃だったので街中では子供達が大勢スケボーをして遊んでいる―――という日本ではちょっと信じられないような光景が見られた。
一日中、日が沈まない白夜と言われる現象が起きるのは北半球では北緯66.6度以北だが、ベルゲンはまだその北極圏には入らない確か北緯60度位に位置しているから夏至でも申し訳程度に日が沈む時間はあるが、それでも夏至の頃はほんの4-5時間太陽は隠れるものの地平線の少し下にいるのだから夜といえどもほの明るい。当時住んでいたロンドンに比べても夜の短さ（昼の長さ）は驚くほどで、地球の大きさというものを実感したものだった。（ちなみに東京の日照時間は、ロンドンに比べて更に約2時間程短いから、ベルゲンと比べるとその差は歴然だ）
そんな体験をしたからだろうか、それからは地球という天体が、この太陽系の中を、地軸を23.4度傾かせて公転しているのだ！という壮大さを教科書的知識としてではなく、体感したような気になって、毎年夏至ときくと、なんだかうれしくなってしまう。
物理学者であり俳人でもあった和田悟朗に「夏至ゆうべ地軸のきしむ音すこし」という句があるが、まさにこの句のもつ壮大さが、夏至という宇宙現象に相応しいと膝を打ったものだった。
そうそう、そのノルウェー旅行の帰りの飛行機で隣に座ったのが、ノルウェーの北極圏に住んでいるという人だったので、白夜は昼が長くてよいけれど、逆にずっと日が昇らない極夜の冬の間は、あなたたちはどうやって過ごしているのか？と聞いたら、彼は「ずっと寝ているよ」と冗談を返してきたことを―――懐かしく思いだす。
（6/21/23 10:00pm S.T）
2023年6月19日
トリノスケール
昔中国の「杞」という国に、天が落ちて来るのではないかと心配して食事も取れなくなった人がいた―――という故事からでたのが、杞憂という起りえないことを心配する事を意味する言葉だ。
6500万年前に地球に落下したのは、直径わずか15キロほどの天体で、この衝突によって生じたすさまじい衝撃波が巨大な火災となって地球表面を焼きつくしそれまで2億年近くにも亘って地球を支配していた恐竜は絶滅してしまった。6500万年前に実際におきたこととなれば、いつか再び起きないとは言い切れない―――再び、そんなことが起きれば、人類のみならず地球上の大部分の生命は、絶滅してしまうだろう――――。
安全を求めることは大事だが、絶対的な安全、最近でいうゼロリスクを求め続けることは、果たして合理的といえるのかと思わ時、この杞憂と恐竜絶滅の話を思い出す。
最先端の健康法を実践し健康な食生活と運動にいそしんでいる人が、ジョギングの帰りに寄ったコンビニで、店に突っ込んできた車にはねられてしまう―――なんていうことだってあり得る。そのリスクを恐れて室内にいつづけたとしても、空から隕石が降ってきて直撃されることだってあるかもしれない―――。
原発再開にしろ処理水放出にしろその反対運動は、徹底的にゼロリスクを求めるものばかりで、なんだか再び人々が「杞」の国の人になっているような気がしないではないが―――彼等は「そんなことはない、それは杞憂ではない！実際、6500万年前、恐竜は絶滅したではないか！」というだろうが―――。
ちなみに、近傍天体の地球衝突の可能性だが、現在その可能性を探る国際的な監視、研究組織があり、その計算によると、恐竜絶滅を生んだような大きさの天体で、地球の軌道と交差した軌道を持つものが約2000個あり観測されており、これ等の宇宙物体が地球と衝突する確率と、もし衝突したとしたら地球にどれぐらいの被害をもたらすかは、 「トリノスケール」という尺度によって評価されているという。
トリノスケール10が、6500万年前に起きたような大衝突を意味し「地球全体の気候に破局を招く」物体と格付けされ、トリノスケール０が「衝突の可能性はゼロ」であるが―――、一安心なのは現時点の評価では2000個ほどの観測物体はすべてトリノスケール０であるそうだ。
（6/18/23 10:00pm S.T）
2023年6月16日
煩悩の塊
「世界文学の中の最も偉大な物語」と言われるのがロシアの大作家トルストイの短編小説「人にはどれほどの土地がいるか」だ。
ロシアの働き者の農民である主人公は、「自分にもっと広い土地があれば、悪魔など恐るるにたりないのだが」とつぶやいていたのを聞いていた悪魔は、ある時この主人公に「1000ルーブル」出せば、夜明けから日没までに歩いて回った土地は全て与えよう、という絶好の機会を与える。
彼は夜明けとともに飛び出し、太陽が沈む直前まで自分の歩いた土地に印をつけていくのだが――日没近くなって彼は欲張り過ぎて自分が出発点からはるか遠くまで来てしまったことに気づき一目散に走って戻ってろうとする。ちょうど太陽が沈む時間に、彼はついに出発点にたどり着き、それをみていた人々は彼の幸運を称えて大歓声をあげるのだが――あまりに必死に走った主人公は、疲れ果てて倒れ、そのまま息絶えてしまう―――それを陰でみていた悪魔はほくそ笑むのだった。
主人公の使用人は、たった6フィートの長さの土地を掘った墓に彼を生めてしまう。そう、これが物語のタイトルで問いかけられた答えだったのだ―――。
人の欲望には限りがない、何千億円をもっていても、もっと欲しい、もっと欲しい、と必死な人もいれば、秀吉のように日本のみならず朝鮮、中国まで我が物にしようとした英雄や、後宮に美女三千人をおいた中国の皇帝もいたが―――皆、死んでしまえば墓は、「たった6フィートの長さの土地」で足りてしまうのだ―――。
禅宗の言葉に「起きて半畳寝て一畳」というのがあるが、人ひとり、どんな大豪邸をもっていようが、わずか一畳の広さがあれば済むことであり、無欲こそが煩悩を捨て去る近道だと説いている。
トルストイにしても禅語にしても、おっしゃることはごもっとも、と思うものの―――いくつになっても腹が減れば、何か食べたくなるし、喉がかわけば水を飲みたくなる―――といった調子で、人は生きているかぎり欲望の塊であることからは逃れられないようだ。
（6/15/23 10:00pm S.T）
2023年6月14日
タイパ
情報溢れる時代になって、電子化にともなってそれを発信するにも収拾するにも時間が大幅に少なくて済むようになってきた。
多くの情報・知識を必要とされる現代人、特にZ世代にとっては、いかに手っ取り早く、大量の情報収集・発信ができるかというタイムパフォーマンス（略して「タイパ」というらしい）に優れているかが、勝負の分かれ目になっているのだとか――――。
タイパなんて言われると、タカさんなどの世代にとっては縁遠いようにおもうが、なあに、昔から日本人は生まれつきやっていることだと気づいた。
タカさんの親の世代ですら新聞を読みながらラジオを聞き、あるいはテレビを見ていていたし、タカさんだってテレビ番組（特にドラマやクイズ番組）などは録画しておいてコマーシャルとばしや、早回し機能をフルに使って1時間番組でも5分もあれば見た気になっているし、読書だって昔から速読する癖がついている―――これってそれこそタイパではないだろうか。
そうそうリーダースダイジェスト誌やそれに似た雑誌は今も発行されているようだが、こういった種類の書籍も、古くからタイパ目的で人気があるようだし、そういった情報は今やネットの検索機能を使えば、さらに「タイパ」になるし、より大量の情報が手に入る。タカさん世代でこのネット検索を使っていない人の方が少ないかもしれないと思えるだけに「タイパはZ世代」という言い方には、高齢世代の一員としては抵抗を覚える。
最近はメジャーリーグではタイムクロックルールが採用され、試合時間の大幅短縮が図られていて、NPBでもおそらく来年には導入されるというし、大相撲の仕切り時間も昔に比べて随分短縮され「タイパ」が進んでいる。頻繁に笛がなって試合が止るラグビーや、サッカー、バスケットももう少しタイパを考えては―――と思わないではない位だが――最も、スポーツニュースで結果をみれば一番のタイパになるのだが―――。
なにしろ、タイパ、タイパのせわしい時代に我々が生きていることに疑いはないのだが―――それによって何か大事なものを失っているような気もしないではない。
（6/14/23 10:00pm S.T）
2023年6月13日
スケールの違い
地球から太陽までの距離は、1億5000万㎞だ。一秒で30万㎞進む光だと8分19秒の距離と言われるとなんだか近いような気もするが、例えば時速270㎞の新幹線「のぞみ」で走り続けると1億5000万㎞は63年かかる距離だから途方もなく遠い距離だということが分かる。ということは「のぞみ」の約150倍のスピードで飛ぶ宇宙ロケットで約4か月飛び続けなければいけない距離に太陽はあるということになる。
宇宙を円軌道を描いて飛んでいる地球から、一番近い惑星である火星迄でさえ最短片道約1年、もし有人ロケットで行って火星を一定期間調査した後、その調査結果を携えて地球迄もどってくるとなると―――少なくとも3年は覚悟しなければなるまい。いつか、人類は火星にいくだろうが、いかに冒険心に溢れた人物とは云えそんな旅行に志願していく人物がいるのだろうかとも思う。（NASAの募集には随分多くの人が応募したというが―――）
人類が作って飛ばした衛星で今一番遠くを飛び続けているのはボイジャー1号で、これは1977年に地球を離れて今もひたすら宇宙を飛び続けているが、漸くいまから10年前、地球を離れてから約40年かかって、太陽圏を抜け星間宇宙へ飛び出したものの、もしこの調子で飛び続けていくとしても、4.2光年先の太陽に一番近い恒星（プロキシマケンタウリ）までの距離を飛ぶには、あと4万2000年かかるという。（それまでの間我々人類が絶滅せずにいるだろうか―――）
太陽やプロキシマケンタウリのある銀河系宇宙には約1000兆個の恒星があり、この大宇宙には銀河系のような宇宙が数千億あるというから、全宇宙にある星の数は、10の26乗個にもなり、それぞれの宇宙に数個の地球型惑星があると仮定すれば、確率から考えても人類のような知的生命体はこの宇宙には、必ずや存在していると思うが、彼等と我々人類が遭遇する確率は、ビッグバンが再び起きる可能性よりも少なそうで、映画「未知との遭遇」のような出来事が起きることは、まずありえないのだが―――逆に又絶対にないとも言い切れない。
ジェイムスウェッブ宇宙望遠鏡は、現在ファーストスターを見つけるべく宇宙で観測を続けているが、その打ち上げに要した費用は100億ドル（1兆4000億円）だとか――。
現実の時間という束縛と人類の力と、宇宙の広大さの余りのスケールの違いに、茫然とせざるを得ないが――――実に夢のある話だ。
（6/12/23 10:00pm S.T）
2023年6月9日
アラブ首長国連邦
ガーシーがＴシャツ一枚のサンダル履きで、おっぽり出されたアラブ首長国連邦（UAE）という国はその名の通り、アラブの首長すなわち部族の長が治める7つの首長国からなる連邦国家だ。
中東でのビジネスの為に何度も訪れたことがあるが、この国は豊富な石油収入で国家財政を賄っており、国民は無税であるばかりではなく、手厚い社会福祉政策があり言ってみればまあ何から何まで無料であり、しかも国民のほとんどに高給の公務員の職が与えられていることもあって、首長一族の政治支配に対しても不満の声など聞いたこともなかった。
7つの首長国はそれぞれ独自の制度をもっているが、例えばドバイの場合、宗教的規律も緩やかで、女性の服装も自由だし酒類の販売も自由だったから、規律の厳しいサウジアラビア等での長期滞在を余儀なくされていた外国人技術者などが、息抜きに訪れてゴルフ（海水淡水化で得られた水をふんだんに撒いている緑あふれるゴルフ場だった）をしたり、夜は酒を飲んだりしていた。（外国人には飲酒も許可されているから、自室などで酒盛りなどをやっていたようだ）
夏になると湾岸特有の湿気の高い高温になるが、豊富な電力でガンガン冷房をきかせるから日本の夏より却って快適かもしれないと―――いいことだらけのようにも思えるのだが―――。もっとも、砂漠の中の狭い国だけに変化に乏しく、やはり日本人にとっては、長く住むところではないように思えたものだが―――。
アラブ首長国連邦の国民であるためには、基本的にはこの国の出身者であることが必要で、金持ちの外国人ならば長期滞在は可能でも、国籍を得ることはほぼ不可能だ。
南アジア（インド・パキスタン等）出身者がエッセンシャルワーカーとして来ているが、彼等が一旦職を失えば即国外退去をもとめられるし、もちろん家族帯同は許されていないから南アジア出身者を中心に外国人が、人口の9割を占めていても、この国が莫大な石油収入を得続けている限りは、アラブ人だけが、この夢のような国で豊かに暮らし続けることは可能だし、それ以外の外国人が長く住み続けることはまず無理だ。
報道によると、ガーシーは芸能人らの暴露記事などを動画で流すことで広告収入等を短期間で1億以上稼いでいたというが―――それ位の金額では、ドバイの首長一族がもっている資産に比べたら鼻くそにもならないから―――さすがのガーシーも、失職した出稼ぎ労働者と同じようにお払い箱になった―――というのが真相ではないかと思う。
（6/08/23 10:00pm S.T）
2023年6月7日
Rainy Season
オレゴン州のポートランドでは地元の人が「ポートランドの雨季(Rainy Season)は1月1日にはじまり12月31日に終わる」と言うほど雨の多い街だが、雨が降っていても傘をさしている人を見かけることはない。
しとしと降る霧雨のような雨が多い所為もあるからだが、年中降っているとなると、いちいち傘をさしていてはまだるっこしい―――ということもあるのだろう。
ロンドンも雨は多いが傘をさす人をほとんど見かけない。偏西風の関係で風が強いから傘をさすとおちょこになってしまうからだという理由もあるが、いずれにせよ欧米人は日本人みたいにちょっとでも降っていたり、降りそうだからといって傘をさすという習慣を持たないようだ。
世界的に見ても日本は、必ずしも雨降りの日数が多い国という訳でもないのに、日本人の一人当たりの傘の所有数は、世界一だそうで確か一人当たり3-4本と言った数になるらしい。ちなみに二人暮らしのタカさんの家にも携帯用傘までいれたら10本以上はあるのではないだろうか。
子供の頃は雨降りになるとクラスの女の子の母親が傘を持って学校迄きてくれているなんていう風景が見られたものだが、今はどうなのだろう。そうそう、童謡の「あめふり」の歌詞も、「♬あめあめ ふれふれ かあさんが じゃのめで おむかい うれしいな ピッチピッチ チャップチャップ ランランラン♬」だったが――蛇の目傘というのもすっかり見かけなくなった。ビニール傘に駆逐されてしまったのだろうか。
ビニール傘の発明は日本人だが、統計をみると現在年間7500万本ほどのビニール傘が輸入されておりそのほとんどが中国からであるという。
日中関係次第では、中国がビニール傘の対日輸出を禁止する―――なんていうことになるかもしれないがそうなると日本の雨降りの風景が変わってくるかもしれないなぁ～。
梅雨の花といえば紫陽花だが、我が家の庭の紫陽花も鮮やかに咲きはじめている―――これからしばらくは傘をさして出かける日が多くなるのだろうか。
（6/06/23 10:00pm S.T）
2023年6月2日
後継問題
人類史上最大の帝国であるモンゴル帝国の基盤を築き上げた成吉思汗だが、その帝国は彼の死後、わずか100年程で解体してしまった。
解体するにいたった理由は様々あるが、モンゴル族には中国のような長子相続といった後継者ルールがなく、中国本土を治めた元王朝も、ハン諸国も、皇帝や王の後継ぎ争いが原因で衰退の道を歩んだといわれている。
何もモンゴル帝国に限らず世界史における権力構造は、後継者争いによって自ら衰退の道を歩む―――ということが多いようだ。
逆に後継問題がスムースにいけば権力は長く継承することも可能だ。
徳川幕府が260年という長い間続いた理由は、一つには初代家康が二代秀忠とその正室お江が推していた利発な次男坊国松ではなく、長子相続というルールに基づいて、長男坊の家光（家臣たちにはバカだとおもわれていたという）を、三代目に指名したことが大きかったと言われる。
長子相続にはもちろん欠陥も多いが、それを徳川の初代創業者である家康が、「これからの徳川家は長子相続で行くのだ！」と定めてしまえば、以後この祖法を破ろうとする者はいなくなるから、少なくとも跡目争いから起きるお家騒動などの頻度は確実に少なくなる。（仙台藩のお家騒動など大名家で起きた騒動の多くが、後継者争いから起きている）
そうそう、日本の皇室では、かれこれ1600年程の間は、男系男子による相続という基本ルールが続いていることが長持ちの一つの理由かもしれない。もっとも、近年は男系男子にこだわると、中々この伝統を守るのは難しい面も出てきているようだが―――。
(6/01/23 10:00pm)
2023年5月29日
こわーい！
コロナの流行が始まった3年程前に、江戸川の堤防の散歩道をウォーキングをしていたら、６-7歳の女の子と父親の会話が耳に入って来た。お父さんが女の子に江戸川の向こう岸の遠くに見えるビル群を指さして「ほら、この川の向こうは東京だよ」といったところ、女の子は「わぁ～、こわーい！」といったのだ。
多分、ニュースで「東京のコロナの発生件数が何千件、死者が何人」等連日テレビなどで伝えられ、女の子もお父さん、お母さんの不安そうな顔をみていたせいで、東京というこわいところがすぐ向こうにある、と知って条件反射的に「こわーい！」といってしまったのだろう。
何波かのコロナのピークを経験し、漸く感染法上の分類が2類から5類に引き下げられ、感染者数のカウントもされなくなったのは、決してコロナが無くなったというわけではなく、季節性インフルエンザ並みの扱いにしないと、社会も経済も持たないだろうという多分に政治的な判断が働いたからだろうが、人々の方も、3年もビクビク暮らしてきて、ワクチン接種もある程度進み重症化リスクが減ってきたと言われているからには、もういい加減ビクビクするのは止めたい、という思いが高まってきていた所為もあるのではないだろうか。
色々な集まりが三年振りに再開され出かける機会が増えてきている。先週、新宿で集まりがあり出かけたのだが、三年振りの新宿ですっかり「お上りさん」になってしまっていることを実感した。
まず新宿の人出の多さに圧倒された。駅構内は勿論、どこまで歩いても、その人混みが途切れることがない。タカさんの自宅近くにある東京ディズニーランドの駅の人混みも凄くなってはいたが、新宿のそれは何だか桁が違うように感じるほどだった。
20人ほどの会は楽しく、懐かしい顔との再会を楽しんだのだが、二次会に行こうという話になって皆でゾロゾロ歩いたが、どんな店も飛び入りで10人以上が入れる店なんてある訳もない。結局、高層ホテルのラウンジにいって随分と待たされた挙句、4人づつ別々に―――座るのがやっとだったのは、やはり皆がコロナが明けたのを機会に、どっと繰り出しており、需要と供給のバランスが全くとれないほどになっているからなのだろう。
これに、更に外国人観光客が増えるとなると―――当分、「上京」の混雑はタカさんにとって「こわーい！」ということになりそうだ。
(5/28/23 10:00pm)
2023年5月26日
紙と鉛筆
ダイナマイトの開発で巨万の富を築き「ダイナマイト王」と言われたアルフレド・ノーベルは、その遺産をノーベル賞の創設に使った。現在ノーベル賞は6分野（物理学、化学、生理学・医学、文学、平和および経済学）に贈られているが、なぜか芸術分野（音楽とか絵画、彫刻といった）と数学にはこの賞がないのだろうか。
一説ではノーベル自身が絵画や音楽には興味がなかったし、数学が嫌いだったから等とも言われているが真相はどうなのだろう。
数学にはノーベル賞がないことから1936年から4年に一度「フィルズ賞」という国際的な賞が設けらたが、この賞金額はノーベル賞の1/50と少なく、いわば名誉賞と言ってもよいものだ。（もっとも近年はそれでは数学者が可哀そう（？）と賞金がノーベル賞の3倍の約3億円が贈られる「数学ブレークスルー賞」というのがあるらしいが―）
最近のノーベル賞の受賞実績をみると例えば小柴昌俊さんのニュートリノ観測や、宇宙の加速膨張を発見したパール・ムッターの場合などでは、巨大な観測装置、国際的に大規模な科学者ネットワーク等々といったものが必要で巨額な資金が投入されているが、それに比べれば、純粋数学や100年も前までの理論物理学などは、「紙と鉛筆」があればできる学問などとも言われたようで、天才たちが頭だけを使って考え出すものだったらしい。
まあ、そうはいっても、いくら天才といえども日々の暮らしを賄うためには、何らかの方法で資金は必要だったわけで、紙と鉛筆だけで偉大な業績を残したとは言えないようで―――ピタゴラスの定理で有名なピタゴラスは、ピタゴラス教団という教団の教祖様だったし――植物学の泰斗、牧野富太郎も、粘菌の研究で知られる南方熊楠も、豊かだった生家の財産を研究に注ぎ込み莫大な借金までつくったといわれるし、野口英世にしてもスポンサーの資金に助けられてあれだけの業績を残している。野口英世の場合など、スポンサーだった人物は息子に「女に惚れても、男には絶対にほれるな。女に費やす金などたいしたものではないが、男に吸い取られると底がない」と言い残したたという。
「紙と鉛筆」だけで業績を残した天才が一体どれほどいたのだろうか―――。
(5/25/23 10:00pm)
2023年5月23日
Windy City
上州名物といえば「かかあ天下とからっ風」と言われるが、別名赤城おろしともいわれる冬場のからっ風は有名で、その時期になると自転車もこげないほどの強風で、群馬の畑には風で飛ばされてきた女性のウィッグがたくさん落ちている―――なんていう笑い話がある位だが、タカさんの住んでいる東京湾岸の街も、風の強いことでは日本でも上位に位置づけられるのではないかと思う。
特に今年に入ってからは、風の強い日が多く、近くの橋の上を歩いていると、前に進むのに難儀したりすること幾度もあったし、先日は高架になっている駅のホームで電車を待つ間、風が強くてホームの鉄柱に寄りかかっていないと飛ばされるそうに感じたこともあった。
千葉ロッテマリーンズのホーム球場である幕張にあるゾゾマリーンスタジアムは、風が強い球場として有名で、日本で唯一スコアボードに風速の表示がある球場だが、この表示が風速10メーターを超えている日がほとんどで、先日最高風速20メートルというとんでもない風が吹きあれることもあった。（風速が7から8メートル程度だと、観客も「今日はほぼ無風だねぇ～」なんて言い合っている）
この強風に慣れている所為もあるのか、いまのところマリーンズは風の強い日のホームゲームでの勝率が抜群で現在パ・リーグの首位を走っている―――そんなこともあって、マリーンズファンのタカさんとしては風が強く吹くのはそんなに嫌いではない。
街のニックネームがWindy City(風の街)と言われるシカゴに住んでいたこともあるが、シカゴを本拠地とするカブスにも在籍した経験のある昨年迄4年マリーンズにいたL.マーチン選手も、千葉の風はシカゴよりだいぶ強いと言っていた。
そうそう、宮沢賢治に「風の又三郎」という作品があるが、転校生活が多かったタカさんは、小学生の頃、主人公の又三郎が、やはり転校生だったから、この物語に親しみを持ったことを思い出す。
マリーンズの風得意と、風の又三郎の影響もあってタカさんは風が好きなのだろうか？
(5/22/23 10:00pm)
2023年5月22日
かな文字文化
暴走族服というと背中に大きく「天下無敵」とか「夜露四苦」などと刺繍された特攻隊ジャケットが思い浮かぶ。威圧感のある特攻服だが、その服に漢字が書かれていると更に威圧感が増すように感じる。
これが「天下無敵」ではなくてひらがなで「てんかむてき」なんて刺繍してあれば漫才コンビではあるまいし―――と笑いだす人もいるだろう。
平安時代には「女手」といわれていた仮名文字は、やはり漢字に比べて随分やわらかい文字に思える。そのやわらかな感じのするひらがなを使っているということが、日本文化そして日本文学が他の言語に比べて感情を細やかに表せる情緒あるものにしている根本にあるように思う。
日本に漢字が入って来たのは古くは1世紀頃らしいが頻繁に使われるようになったのは随分あとになって奈良時代ごろからのようだ。その頃の日本人は、自分達の日常つかっている大和言葉を、漢字を使って表すためにいわゆる万葉仮名が使われるようになったというが、これは、アルファベットが入ってきた時に、日本語をアルファベットで表記するいわゆるローマ字を発明（？）したTanakaとかTakahashiといった表記を使うようになったのと似ているようにも思う。
ひらがなの普及に功績があった人を特定することは難しいが、やはり紀貫之をその筆頭に挙げるのが相応しいように思う。
紀貫之は古今和歌集の選者として知られており彼はこの和歌集の序を二種類書いており、一つは漢字を使った「真名序」もうひとつが、ひらがなを使った「仮名序」であるし、彼が土佐の国司の仕事を終えて京にかえる旅を書いた「土佐日記」は、彼が女性のフリをして仮名で買いた旅日記であるが、もしこの「土佐日記」が漢文で書かれていたら、あの情緒あふれる旅の様子は全く違ったものとして後世に残るようなこともなかったかもしれないし、清少納言や紫式部などの紀貫之の約100年後に活躍し、今や世界的な評価の高い平安女流文学もあらわれなかったかもしれないから、紀貫之の日本文化に与えた影響は実に大きく、それが今の我々の日本的情緒の礎になっているように思う。
人はいさ心も知らずふるさとは花ぞ昔の香ににほひける
という百人一首の彼の歌に込められた日本的情緒が身に染みるのは、仮名文字を知る日本人だけなのではないだろうかなどと思うのだが―――。
(5/21/23 10:00pm)
2023年5月19日
電力値上げ
黄色いカラスはいないことを証明することは不可能だが、逆に黄色いカラスがいることを証明するのは簡単だ。たった一羽でよいから黄色いカラスを見つけそれがまがいもなく黄色いカラスであることを誰もが認めればよいのだ。現時点でまだ誰も黄色いカラスを見つけたわけでもないから、「黄色いカラスはいないと思われる」というのが正確な言い方であり、必ずしも「黄色いカラスはいない」という証明にはならない。
ネッシーの存在、黄色いカラス、ツチノコ等々存在すると一部では言われながらフェイクの可能性も疑われる事柄は多いが、逆に「そんなものはいない」と断言することも、神ならぬ身の人間にはできないのだ。
存在の証明は、一つでも存在することをみつければ「できる」が、逆に不存在の証明は、わゆる「悪魔の証明」と言われるやつで、証明は不可能なのだ。
原発が安全だという証明もこの悪魔の証明だ。一度事故があれば原発が安全ではないことを証明したことになるが、これからは安全だという証明を出せ、となるとそれができる人などいる訳もない。原発再稼働に当っては、この悪魔の証明をしなければならないようだ。
大手電力7社の6月からの料金を値上げが認可された。認可までには、天下り先である電力会社からの値上げ申請を認可したがる経産省と、不正アクセスなどで課徴金を1000億円も支払わされたことが料金値上げの理由の一つになっている可能性を指摘し、値上げに難色を示した消費者庁の間で綱引きがあったようだが、天下り利権のある経産省が勝ったようで、関西電力と九州電力を除く7社の値上げが認められ、6月からこの7社では値上げが実施されるという。値上げを申請しなかった関西電力と九州電力は、原子力発電所を稼働させており、その為に、電力コストが上がっておらず値上げの必要がなかったということのようだ。
値上げをする7社はいずれも原子力規制委員会からの「原発が絶対安全だと証明せよ」という悪魔の証明を求められ、それができない為にほとんどの原発が停止しており、原油や石炭のコストアップもあって値上げせざるを得なくなっているようだ。
東京電力の柏崎原発などは、北朝鮮工作員の襲撃に対する安全防御がずさんだとも指摘されていると聞くと、悪魔の証明を求める規制委員会がいる限りは、当分稼働許可がでないだろうから―――今後も電力値上げは続くと覚悟しなければならないようだ。
(5/18/23 10:00pm)
2023年5月12日
若い国
世界一の人口大国の地位を中国から奪って遂にインドが世界一になったという。抜かれた中国は焦りの様子で習近平の号令一下、様々な子作り奨励策をとってはいるようだが、こればかりは幾ら共産党の命令とはいえ人々がおいそれと従うわけもないことは、あの手この手の「子育て支援策」のバラマキをやったところで人口は減り続け50年後には現在の32％減になるという「冷徹な」予測が政府機関から発表されている日本と変わらないであろうことは、だれでも予測がつくことだ。歴史的経験則からいってもある程度社会が豊かになれば、人口は増えないし出生数は減ることは分かり切っている。（古代ローマも、豊かになるにつれて人口が減り最後には滅亡した）
中国に代わって人口世界一に飛び出したのはインドだ。人口は14億を超し、しかも生産年齢人口比率（14歳以上65歳未満）が現在67％と日本のそれより10％近く高く、しかも増え続けているというのだから、中国のようにますます高齢化社会になっていく国と違って、インドは「若い国」でありこれからもしばらくはその若さが持続する国なのだ。
若い国となれば、将来成長のポテンシャルは大いにあるといえるわけで、これから伸びるとしたら、老齢社会に向かおうとしていてしかも強権政治で何かと不自由な国である中国にくらべ、自由主義体制であり、若くてポテンシャルのあるインドがよさそうだと考えるのは必然だろう。
もっとも、人口が多くて若い国だからと言ってそれだけで良いという訳には行かない。人口世界一と言っても、インドの国土面積はは中国の1/3に過ぎないし、今現在のGDP（国民総生産）は、中国の1/6にすぎないのだから将来性に賭けて、工場進出を図ったり巨額投資に踏み切るには当然リスクも伴うだろう。
ヒンドゥー教が圧倒的多数を占めるとは言え複雑な宗教模様と、カースト制度の色合いが強く残り、しかも民族問題も抱えている国だという面もちょっと問題でもあるかも―――。
岸田首相は、グローバルサウスの代表国でもあるインドを来週開かれる、広島G7サミットに招待したという。中国とは国境紛争を抱えるインドだけに、米中対立色の強くなるこれからのことを考えれば、G7側との絆は強固にしておくべきで、首相の判断は適切だと思う。
成熟した国と言えるかもしれないが齢をとった国である日本は、若い国であるインドとは、とは仲良くなりたいものだ。
(5/11/23 10:00pm)
2023年4月28日
産めよ増やせよ
予想とか予測と名のつく物の信頼度が低い事は競馬予想の当たらないことで皆経験済みだろうと思うが――、それでも比較的当たるといわれるのが人口の長期予測だ。
厚労省が50年後の2070年には日本の総人口は8700万人(内外国人1000万)になるとの予測を発表した。これが政府の本音の数字だとすると―――政治が今やっている様々な少子化対策の効果を、お役人は、全く信じていないということなのかもしれない。
結婚をするかしないか、あるいは子供を持つか持たないか、は全くの個人の自由であるが、国民が結婚もしないし子供を持たないで人口減となれば国としてはGDPが減るなどして様々な問題が出て来て、確かに困るだろうから、あの手この手で少子化を防止、できれば人口増加につなげたい！となるのは当然だろう。
となると、自由主義社会では、国民をなだめすかして、あるいはあの手この手のインセンティブをちらつかせて子作りに励んでもらおうとするだろうが、今どき、ちょっとやそっとのインセンティブに踊る国民は、そう多くはない、というのが西側諸国の大半であり、最近は、あの人口大国中国でも同じ状況になってきているという。
つい最近までは、「一人っ子政策」をとって人口抑制に努めていた中国だが、近年「二人目まで許容」「三人目もOK」と段々抑制策をゆるめ、インドに人口世界一の座を奪われた最近では、今度はいかにしたら少子化を防げるかの政策への百八十度の転換をはかっているという。
ニューズウィーク誌によると、さすがに強権国だけあって、国民にちやほやと子作りインセンティブを与えるなどというなまぬるい方法だけでは人口減少は防げないと、「カップルが二人目の子供を持つまでコンドームを買えないという規制を導入する」「大学キャンパスやホテルでのコンドーム販売を麻薬並みに禁止する」などという方策がまじめに提案、検討されているというから―――怖ろしいというか笑ってしまう。さすが共産国、強権国だ。
今、日本での合計特殊出生率が1.39と2を割って大騒ぎしているが、中国では、既に1.1-1.2となっていて回復の見通しもない、というのだからコンドームの麻薬並み取締りをしたところで、効果がでるとも―――思えないのだが―――。
旧約聖書の神の言葉、「産めよ増やせよ」は、現代社会では中々通じないと思う。
(4/28/23 10:00pm)
2023年4月25日
文字と文化
エジプトの土産物屋では、客の名前をエジプトの古代文字で書いたカルトゥ―シュと言われる名札をパピルスで作ってくれる。ヒエログリフは紀元前3000年頃から紀元4世紀頃まで使われていたが、その後長い間、解読不能となってしまった神聖文字だ。ナポレオンのエジプト遠征時に発見されたロゼッタストーンを手掛かりにフランス人シャンポリオンが解読に成功した文字だという点でも魅力的だ。この神秘の文字で書かれた自分の名前、というのだから土産としては人気抜群だ。
ヒエログリフは象形文字から作られた表意文字であったが、表意文字は漢字がそうであるように、一字一字に意味があるから、当然、文字数が膨大になってしまう。ただ神聖文字というのは、王や神官たちと言ったごく少数の人達が知っておればよく、文字数が多くても、それで問題はなかったのだが、時代が進むにつれ簡略化した草書体が使われるようになり、その内、表意文字すなわち音をあらわす文字としても使われるようになって行き、特に王の名前などを表記する際には、この表意文字としての使い方がされるようになったのが、このカルトゥ―シュなのだ。（従って土産物屋では、ローマ字で名前を書いて注文すれば、ほんの数分でヒエログリフに変換してくれるという訳だ）
今世界で使われている様々な文字で表意文字は、おそらく漢字位だろう。多くの国で使われるアルファベットは表音文字だし、インドのテベッカリー文字やタイのシャム文字も表音文字であるのは、話し言葉をそのまま音で再現する方が簡単だからだろう。
しかし、日本では表意文字である漢字と、表音文字であるひらがな、カタカナの三種類（場合によってはアルファベットまで）を使っいる。外国人は難しいというが、日本では、子供でも難なく使いこなしている。
日本に漢字が入って来たのは1-2世紀頃だが、当初から、漢字を表意文字としても受入れると同時に、訓読みという日本語の意味を付け加えたり、万葉仮名のように日本語の音を漢字に当てはめたりという大和言葉への応用を見事にやってのけている。しかも、9世紀ごろになると万葉仮名を草書体として使う「ひらがな」という新しい文字を作ってしまったのだから、そのイノベーション能力は大したものだと言える。
そうそう、当初は女文字として使われていたひらがなを男性である紀貫之が使ってあの「土佐日記」を書いたというのも、日本語の文字発展史の中では、特筆すべき偉業だ。そのお陰で、「もののあはれ」に代表される日本的情緒が、今も日本人の間で育まれているのだ。
(4/24/23 10:00pm)
2023年4月14日
ロドリゲス選手
吉原などの遊女は、貧しさゆえに親に売られて苦界に身を沈めるという者がほとんどだったという。親の借金のカタとしての身売りだから、苦界の境遇から自由になるためには、自分でコツコツと金を溜めるなり、年季といわれる決まった期間を遊女として務め上げるか、はたまたよほど運がよければ金持ちの旦那にその借金を肩代わりしてもらう、いわゆる「身請け」をしてもらうしかなく、多くの遊女は、その前に体を悪くして死んでしまい遺骸は、投げ込み寺に放り込まれたりもしたという。
こんな話を思い出したのは、中日ドラゴンズに所属するジャリエル・ロドリゲス投手が予定されていた日までに来日せず、どうも亡命をはかったようだと言われている話を聞いたからだ。
NPBにはソフトバンクのモイネロ投手をはじめキューバ国籍の選手が毎年10名前後いる。キューバは共産主義の国だから、NPB所属のキューバ人選手は、全員がキューバの国家公務員であり、そういう意味ではNPB選手というよりは、キューバからNPBに派遣された国家公務員ということになる。従って彼等には、NPBの球団と個別に契約する権利はなく、契約はキューバ―とNPB球団の間で行われることになる。（まあ、多分、キューバも多少は選手本人の希望のようなものは聞くだろうが、最終的に決定権を持つのは国であり、選手本人が手に入れる給料は国と選手の間で取り決められるという）
すなわち、たとえばモイネロ選手の3億円といわれる年俸はソフトバンクがキューバに払う年俸でありその内の幾らがモイネロ本人に支払われているかは我々は知りようがないのだ。
アメリカの経済制裁を受けているキューバの経済状況は、苦しいと報じられているだけに、国のピンハネ分はかなりの割合になるのではないだろうか。
そんな事情を聞くと、青天井の年俸が自分のモノになるメジャーリーグに入るために、ロドリゲス選手が亡命をはかる可能性は極めて高いように思う―――。
共産主義を掲げている国は、今や世界には数えるほどで、名目的に共産主義をとっているところでも、強権体制という意味で共産主義政治体制をとっているだけで、経済はマルクス的共産主義理論では、どうにも立ち行かないことは、どこを見ても明らか―――だとロドリゲス選手が教えてくれているようだ。
(4/13/23 10:00pm)
2023年4月7日
AIは信頼できるか
もう10数年程前の事になるが、レンタカーで山陰旅行をした時に、出雲大社に行こうとしてナビの案内に従って着いたところが、どうも大神宮の駐車場とも思えない田舎道の突き当たりだった。
たまたま通りかかった人に、「出雲大社の入口はどこでしょうか？」と尋ねたところ「ああ、ナビで来ましたね、よく間違ってここに来てしまう人がいるんですよ」と言われた。どうも、レンタカーが搭載しているナビは、間違っていてよくこの行き止まりに迷い込む人がいる、という。親切に正しい道を教えていただき、無事参詣をしたのだが―――それ以来、カーナビと言うものをあまり信用しないようになってしまった。
先日の衆院内閣委員会で、立憲民主党の議員がAI（人工知能）の対話型の自動応答ソフト「チャットGPT」で作成した質問を、岸田首相にぶつけ、首相がそれに対して答弁をした後、事前にAIが作った「首相答弁」と首相の実際の答弁を比較して見せたという。質問者としては、首相の実際の答弁が、AI作成の想定答弁に劣っている――と指摘して首相を笑い者にしようというたくらみだったようだが、首相も「ぱっと見て、自分の方がAIの答弁より実態を反映ししている」と反論し、AIへの対抗心をあらわにしたとか。
「国会は最高の弁論の府」などといってその権威をやたら有難がっている議員さんたちが、その国会の場で、こんな茶番というかお笑いによる足の引っ張り合いに時間をかけているとは―――。
チャットGPT作成の質問と、それに対するチャットGPTの答弁で国会が成り立つなら、国会議員なんて全員クビにして、国会は、全部チャットGPTにまかせてしまえば――――国会経費も時間も大幅に節約できるのでは―――と思わないではない。もっとも、国会なんて所詮はその程度の無駄な機関でしかないということを、立憲民主の議員さん自ら言いたかったのかもしれないが―――（コニタンに続いて立民の議員さんには、自爆型が多いのかも？）。
昔から、お悔やみの言葉も、結婚式の祝辞も、「模範文例集」を使って作成すれば、だれでも簡単に中々の文章ができたが、その文例集のAI版がチャットGPTなのだから、国会論戦や、学術論文と言ったものにまでそれを堂々と使ってよい、とはとても思えない。
AIは、人間が使うものであって、人間がAIに使われて今迄人類が営々と築いて来た社会、文化をぶち壊すとは―――やめて欲しいものだ。
(4/06/23 10:00pm)
2023年4月3日
インシャーラ
エジプトで「この仕事をできるだけ早く仕上げてください」と頼むと、返って来る返事は、「インシャーラ」である。
インシャーラの意味は、「アッラーの思し召しがあればね」であるから、日本人の多くは「なんていい加減な返事なのだろうか、こいつ全然やる気がないのじゃないかな」と腹が立つかもしれないが、インシャーラには、「できれば早くに仕上げてあげたいが、その前に大地震が起きるかもしれないし、心臓発作に襲われるかもしれないし、この先何が起こるかを全てお見通しの神アッラーを差し置いて、自分の意思であなたに約束などできません。私があなたに言えることは、「もし、アッラーの思し召しがあれば仕上げることが出来るでしょう」ということだけです―――というイスラム教徒の彼としては、最大限誠意ある返事なのだ。
この「インシャーラ」と、「ボクラ」（明日という意味だが、明日を含む何時か将来という意味）、「マレッシュ」（仕方ないね、と言う意味）の三つの言葉を合わせてI.B.Mと言い、イスラム社会でのビジネスでは心得ておかなければならないことばである。
この言葉を聞くと、イスラムの人間はルーズだとか、いい加減だ、と思いがちだが、イスラム教の世界ですべてを決めるアッラーを差し置いて、自分の一存で何かを決めるなどということは、神も恐れぬ行いであり無信心者のやることだ―――となるのだから「郷に入っては郷に従え」でI.B.Mを聞いたら、「ああ、あいつは誠意のある奴だなぁ～」と思うしかないし、しばらくその中で暮らせば、不思議なものですっかり慣れてしまうものだ。（但し、しばらく中東のそういう世界で暮らしてから日本に帰るとしばらくは「使い物にならない奴」と思われるから要注意だ）
電車に乘ると社内アナウンスで「到着が1分程遅れ、お詫びします」などということがある日本でもし、アナウンスが「インシャーラ」とやったら―――新聞ネタになるだろうなぁ～。
(4/02/23 10:00pm)
2023年3月31日
Retiredと無職
神が創った最初の人間である、アダムとイブは天国のエデンの園で裸で暮らし、あり溢れる果物を食べて過ごしていたが、ある時、ヘビにそそのかされて神に食べてはいけない、と言われた知恵の木の実を食べたがために、自分達が裸であることに気付きイチジクの葉で腰を覆った。
言いつけを破ったアダムとイブに神は怒り、罰として女性には出産の苦しみを与え、男性には一生汗して働くという苦しみを与えた―――というのが旧約聖書の創世記に書かれた物語である。
すなわち、キリスト教では出産と労働は、原罪を犯したことで神から下された罰であるというのだ。出産の苦しみを体験したことはないから何ともコメントの仕様もないが痛い思いをして生んだ我が子を見て喜ぶ彼女等をみると本当に出産は苦しみだけなのだろうか？と思うし、労働が苦しみであり罰なのだという考え方にも、なんとなくなじめない。確かに、額に汗して働くことは、食っちゃ寝の生活よりはしんどいかもしれないが、多くの日本人は、適度に働く方に、無為な食っちゃ寝の生活よりも喜びを感じるのではないだろうか。
西欧人の多くが、一年でも早く引退（リタイア）することに必死であるのに対し、どちらかと言えば引退を嫌がり勝ちな日本人との違いは、この労働を苦痛とみるか、それとも人生の一つの目的とみるかの、キリスト教徒と日本人（の多く）との違いに起因するのではないだろうか。
アメリカでは、職業欄にretired（引退者）という欄があるが、日本では職業欄には引退者と言う項目はなく、引退すると皆「無職」になってしまう。アメリカ人はretiredと言う時には「俺はちゃんとやることはやった人間なのだ！」と誇らしげだが、日本人の引退者は「無職」と書くことで、なんだか引け目のようなものを持ってしまいがちなのは、この彼我の労働観の違いに起因するのではないか―――とも思う。
フランスのマクロン大統領が進める年金改革では、年金の受給開始年齢が現在の62歳から64歳に引き上げられるというので、世論の猛反発を呼び、各地でストやデモがおこなわれ、パリなどではゴミ収集車のストでゴミが溢れかえっているというニュースが流れているが―――、これも労働は苦役であって、そこから一刻も早く逃れたい！というキリスト教の教えが彼等にあるからではないかとも思う。定年の延長と聞くと喜ぶ多くの日本のサラリーマンには、理解できないところかもしれない。
(3/30/23 10:00pm)
2023年3月27日
異人さん
パスポートをもって海外に出かけた時に、普段はあまり思わなかった「自分は日本人だ」と自覚する人は多いという。
回りを見れば自分とは、顔つきも背の高さも、髪の色も違う種類の人達がたくさんいて、彼等の話している言葉も違うし、目につくポスターにしても日本語は見当たらないし―――となれば、ああ、やっぱり自分は、日本と言う国に住んで育った日本人なのだなぁ～という思いにとらわれるのは無理もないかもしれない。
世界には、人種のるつぼと言われる国も多く、そういう国で育った人ならともかく、未だに人口の98％が日本人という島国に住む日本人なら、日ごろ「日本人である」という意識を持つ機会は、そう多くはないかもしれない。
鎖国時代の日本人が外国人を見て「異人さん」といっていたのは、背は高いし、肌の色も髪の色も違うし、自分達にはさっぱり分からない言葉を話しているし―――と思った時、はじめて「自分達はどうも異国の人達とは違っているらしい」―――と意識し、そこではじめて「自分達は彼等とは違う和人なのだ」という意識をもったのかもしれない。
ヨーロッパ人がアフリカを植民地化してしまうまで、アフリカの各地に住む人達に民族意識はなく、あるとしても、せいぜい「隣の部落に住む人達とは我々はちょっと違うなぁぁ～」と言う程度の部族意識といわれるものがあったにすぎないという。
当初、アフリカ全土には国境もなく、人々は時によって移住生活をしていたが、植民地化を進める西洋列強は、自分達の支配体制を強固なものにするために、機械的な国境線を定め住民をその中に定住させるために「あなたたちは何々族である」という意識を持たせ、民族（部族）同士を牽制させあうことで、統治し易くしたのが、今日に至るアフリカの人々の「民族意識」の始まりだという。
確かに、彼等は、西欧列強によって民族意識を植え付けられたせいで、いまもアフリカ人が、一つの国としてまとまることはないし、いがみ合いは今も続いている。
広い意味でいうと、ネアンデルタールが絶滅した3万年前以来、人類は我々ホモサピエンス一種類のみであると言われる。すなわち現在80億人を突破した我々は、同じDNAの塩基配列を持つ兄弟姉妹であることになるが―――江戸時代の我々の先祖同様に、外国人に会えばやっぱり「異人さん」という意識を持ってしまうのは―――なぜだろうか？
(3/26/23 10:00pm)
2023年3月24日
なに年生まれ？
自分では齢相応もしくは少しは若く見られるかなぁ～と思っていたら、自分より3歳も年上の人に、「タカさんは俺より年上だと思って、いままで丁寧語を使っていたけれど、年下だったとは―――ああ、損した！」と言われたことがある。
年上か、年下かは、先輩、後輩意識の強い日本では人付き合い上、意外と大事なようだ。
兄と弟、姉と妹の区別が割と明確な日本と違ってアメリカ人は、兄弟を紹介する時でも’He is my brother.’というだけだから、紹介された、こちらとしては兄なのか弟なのか、類推するしかない。もちろんelder brother ,yanger brotherという言い方はあるが、使われることはめったにないのは、そんなことは彼等にとって重要ではないのだろう。
日本だと小学生の野球チームでさえ「xx先輩！」等と言うがアメリカだと年上だろうと年下だろうとチームメート同士はファーストネームで呼び合うのが普通だ。（もっとも英国王室などでは長子相続制があるから、兄と弟の差はいまだ重要なようだが―――）
それはともかくそんな訳で、日本での人付き合いには、相手の年齢を知ることはいまでも意外と重要だ。男性同士が、お互いの年齢を知るための情報は、意外とあるものだが、男性にとって女性の年齢を知ることは結構難しい。まして「女性に年齢をきくのは失礼」という紳士のエチケットがあるから、幼稚園の幼い子でもないかぎり、手のほどこしようがない。特に、最近のように女性が老いも若きもお肌の手入れとやらに熱心だと、昔のように5つや６つどころではなく、10歳以上も若作りされているから男にとっては、見かけだけで年齢を類推するなんて―――手の施しようがない。
女性の歳が分かりにくいというのは、男にとってばかりではなく、女性同士にとっても言えるようで、その探り合いの手法は、結構複雑らしい。相手の子供の年齢、孫の学年、伴侶の年齢などに手掛かりを求めて類推する――等という方法があるらしいが―――それとなく干支を聞きだすという手があるという話をきいたことがある。確かに、「干支は何？」などと聞かれたらタカさんなら思わず答えてしまうが―――そこは、お年を召した女性になってくると「キリン年」などと答えて中々引っかからない人もいるというから―――いやはや、女性の年齢を知るのは中々難しいようだ。
(3/23/23 10:00pm)
2023年3月17日
お菓子は喜ばれる
WBCの対チェコ戦で佐々木朗希選手が投じた162キロの剛速球がチェコの打者の膝を直撃、選手は倒れこんで、もん絶したものの、その後、1塁ベース付近でダッシュして見せるなどの健在ぶりを示したそ、ぶつけた佐々木投手は帽子をとって「申し訳ない」と言う姿勢を取り、一塁手の山川選手も「大丈夫かい」といった態度でエスカラ選手に気遣いを見せた―――という一連の、スポーツマンらしい爽やかなシーンがあったが、タカさんもテレビでみていて、勝負の行方以上に「いい物を見せてもらったなぁ～」という気分になったものだった。
さらに、その試合の翌日には、佐々木投手が、チェコ―チームを訪れ、お詫びのしるしにと、自ら買ってきたロッテのお菓子を、どっさり届けたことが、又々随分と話題になった。
決して高額とは言えないちょっとしたお菓子を貰っただけで、子どもだけではなく、大人でも思わず顔がほころぶもので―――大坂では、おばちゃんが見ず知らずのひとにでも「アメちゃん」を渡すという風習があるとか、ないとか――。
そういえば、サンフランシスコ駐在時、幼かった娘たちが、ハロウィンの日に仮装して友達たちと、近所をTrick or Treat（お菓子を呉れなきゃ、いたずらしちゃうよ）と言って回り、帰ってきてからしこたま集まったお菓子をテーブルに山のようにして嬉々としていたことを思い出すし、エジプト駐在の時には、家族帯同していた同僚の子供たちに、一時帰国の土産で買ってきたお菓子をどっさり渡すと大喜びされ、やさしいおじちゃんとして大人気だったことを思い出す。
佐々木投手がチェコチームに渡した日本のお菓子は、万国共通のおもてなしグッズのようだ。
(3/16/23 10:00pm)
2023年3月16日
料理の国際化
テキサスとカリフォルニアにはアメリカ流にアレンジされたメキシコ料理がある。カリフォルニアのメキシコ料理はカルメックス（Cal－Mex）とよばれ、テキサスのメキシコ料理はテクメックス（Tex－Mex）といわれるが、両者は微妙に違うところがあるし、メキシコにはないカルメックスやテクメックスも多いから面白い。
アメリカンーメキシカン料理には、あの刑事コロンボの大好物、チリコンカンとか ファヒータ、タコサラダ、トルティアチップなどがあるが、アメリカ人も日本人もその事実を知らない人は多い。イタリア人が知らない、日本オリジナルのイタリア料理、例えばスパゲティーナポリタンやドリア、グラタン等と同じで料理はあっという間に国際化してしまうもののようだ。
メキシコ料理がこんなにアメリカで食べられているかといえば、それはテキサスもカリフォルニアも元々はメキシコ領であったが、アメリカからの入植者が多く住みつきその内に彼等が独立を宣言しメキシコ軍と戦って勝利した結果、テキサスは1845年にアメリカが併合し、カリフォルニアも同じような経過をたどり、1848年に起きた米墨戦争でアメリカが勝利した結果1850年にアメリカの31番目の州となったものだからなのだ。この頃のアメリカの領土政策は、「こん棒外交」といわれる力づくでのものだったのだから、現在、ウクライナの東部にじわじわとロシア系住民を送り込み、独立運動を起こさせて一方的にロシア領だと宣言したロシアが、ウクライナ東部4州やクリミアでやっている事とそっくりともいえるだ。
こん棒外交の前科のあるアメリカが、今ウクライナの側にたってロシアに対して「力による一方的な現状変更は世界のどこであれ認められない」等といっているのは、ロシアにしてみれば「どの口が言う！」といったところかもしれない。。
そうそう、日本人の多くがロシア料理だとおもっているボルシチは、ウクライナ料理だという。ロシア料理といえば、ピロシキやビーフストロガノフあたりだろうが、ビーフストロガノフはブラジルでは国民食あるいは、おふくろの味と思われてるいて、ブラジル人はブラジル料理だと思っているとも聞いたことがあるが―――やはり料理は国際化するもののようだ。
(3/15/23 10:00pm)
2023年3月10日
河津桜と大陸移動
伊豆は2000万年前には、現在の硫黄島付近にあった海底火山群だったが、プレートに乘って徐々に移動、いまから30万年前に本州と衝突して伊豆半島となったという。オーストラリア大陸は今も年間８CMの勢いで北に動いているというから計算上だと8000万年程すれば日本列島と地続きになるはずだ――――。
今や誰もが知っているといってよい、この「大陸移動説」だがウェーゲナーが1912年にドイツ地質学会で発表した時には、彼が地質専門家ではなかったこともあって、全く顧みられることはなく、漸くこの説が認められたのは、彼の死後、1930年代になってからだという。
ダーウィンの進化論や、アインシュタインの相対性理論と同様に、一旦認められれば、誰もが知る当たり前の常識のようになってしまうような理論こそ、貴重な人類の叡智の結晶といえるのだが―――このウェーゲナーの大陸移動説も間違いなくその一つといえるだろう。世界地図を見ればアメリカ大陸とアフリカ大陸がジグソーパズルのようにぴったりと符合するから、もとは一つの大陸だったことは一目瞭然に分かったはずなのに―――。
大島桜は、伊豆大島の固有種だが、今は伊豆半島にも大島桜の名所がたくさんあるのも、伊豆半島の移動に乘って伊豆大島から植生が移ってきたようだ。（人の手で移植したのだという説もあるらしいが）
500万年後にはインドネシア諸島、8000万年後には今はアメリカであるハワイ諸島もオーストラリア大陸も日本列島に衝突し大きな超大陸になるらしいから、その際にはもう国境線がどうだこうだなどと争っている場合ではなくなるだろう。
もっとも、我々ホモサピエンスが地上に現れたのは、わずか20万年前に過ぎないし、4万年前に絶滅したネアンデルタールも、栄えていたのは35万年間に過ぎないということを考えれば、超大陸が出現し、国境がなくなる8000万年後に、我々ホモサピエンスが生き残っている可能性は、限りなくゼロに近いし、ひょっとしたら地球さえ存在してないかもしれない――。
まあ、そんな8000万年後の心配等しないで、今は近所の公園で咲き誇っている、大島桜と寒緋桜の交配種である河津桜を楽しむことにしよう。
(3/09/23 10:00pm)
2023年3月8日
北方領土問題
間宮林蔵がシベリアに渡りアムール河流域を探検したのは1809年というから今から200年前のことである。アムール河流域といえば今は勿論ロシア領だが、林蔵が訪れた際にはそこにはデレンという交易地があって夏場には清朝の出先機関が設けられ、清朝の役人が周辺民族からクロテンなどの毛皮を貢がせる代わりに、一定の地位や、絹織物や木綿、針などを褒美として与えていた。
デレンからロシア人は排除されており、林蔵も周辺でロシア人を見ることはなかったという。すなわち、200年前には、間違いなくシベリアは清朝すなわち当時の中国が支配していたのだ。
今はロシア領となっているシベリアだが、中国政府は2010年に「極東の中国領150万平方キロが、帝政ロシアに奪われた」との声明を発表、中国の教科書にもその記述が登場しているという。すなわち日本の北方領土同様、中国もロシアによって領土を不法に占拠されていると主張しているのだ。
ロシア側は、極東シベリアは、もともと誰の領土でもなかったところに、17世紀後半から帝政ロシアが進出し支配しているのだ―――すなわちロシアの領土だ！と言っているが、間宮のデレンの記述からするとこの主張は怪しい。やはり、中国の教科書の記述の方が分がありそうにも見える。
清朝が衰退しはじめ、西洋列強が中国領土を我が物顔に蹂躙していき、遂に清朝が滅びた1907年の時点では、清朝を継いだ中国が、「極東シベリアを返せ！」というだけの余裕もなかっただろうし、その後、圧倒的に強いソ連に対して、弱小国だった中国が、「領土を返せ！」などとは恐ろしくてとても言えなかったのだろうがーーー。
今や14億の人口を抱えてGDP世界第二位となった中国にとって、GDPで自分達の1/10に過ぎないロシアに対して「不法占拠している領土を返せ！」と迫ることは可能だと踏んでいるのかもしれない。
ウクライナ侵攻で疲弊しつつあるロシアだから、中国に味方して欲しくて、ひょっとしたらそんな中国の領土返還要求を受け入れる可能性だって―――ないではないとも思える。
勿論、そうなったら日本が今迄ロシアに対して行ってきた「北方領土を返せ！」という要求は、今度は中国に対してすることになるが―――、ますます返還の可能性は低くなりそうだ。
(3/07/23 10:00pm)
2023年3月7日
花と蝶
植物がタネを作るためには花粉がメシベに到達する必要があるが、その方法としては自家受粉と他家受粉がある。
自家受粉だと花粉の量は少なくて済むが遺伝的組合せの多様性が低く種の絶滅の危険性がましてしまうから、やはり多くの花粉を作ってそれをなるべく遠くまで運んで貰い、遺伝的多様性を増す他家受粉の方が種の繁栄の為には望ましい。
そんな理由があるからだろう他家受粉のスギは多くの花粉を作りそれを一斉に風任せに飛ばす。スギ花粉のピークだといわれる今日この頃は、何と全国で400万トンの花粉が飛び散っているそうで、花粉症のタカさんは、外出は極力控え窓をしめ切った部屋で過ごす時間が長くなっていることで折角コロナの外出自粛が解けつつあるというのに、足腰が衰えてしまわぬかと心配になってくる。（スギ花粉メ！）
長い植物史の中で花粉を大量に作り、風任せで飛ばすというやり方では労力の割に成果が乏しいと気付いた（？）植物の中に、花と言う派手な装いで虫を呼び寄せ、蜜を提供するかわりにその体に花粉をくっつけて効率よく遠くのメシベまで運んでもらおうという賢い（？）進化を果たしたものがいた。これが虫媒花といわれる植物だ。すなわち、花の誕生は、ハチや蝶などの昆虫の進化と同時進行していたらしい。
花と蝶の誕生は、一億数千万年程前、白亜紀前半ごろだったとか。20万年といわれる我々ホモサピエンスの歴史に比べれば一億数千万年程と言えばとんでもない昔だが、植物が陸上に進出した5億年前や、地球上に生命が誕生した35億年前に比べれば、つい最近ともいえる訳だ。そもそも恐竜が闊歩していたジュラ紀（2億年前）には花もなければ、蝶もいなかったというのだから―――中々想像できない世界だ。
(3/06/23 10:00pm)
2023年3月3日
Show the flag！
イラクのクゥエート侵攻に対して多国籍軍が戦った湾岸戦争の時、日本は憲法上の制約から多国籍軍に自衛隊を派遣しなかった。
多国籍軍側に2兆円近くの資金提供をしながら、人的貢献がなかったことで日本は「小切手外交」などといわれ、戦後クゥエート政府が米紙に掲載した、関係国への謝意を伝える広告には、日本の名前がなかったということもあった。このことがトラウマとなってそれ以降、日本は人的貢献を行うべく様々な模索を続けてはいるが――。
あの時、米政府から言われた言葉が’Show the flag！’(旗幟を鮮明にせよ！)だったのを覚えている。「我々の側につくのか、イラク側につくのかはっきりしろ！金だけだして逃げるんじゃねぇよ！」と言う風に聞えるという意見も多かった。
しかし、あの時も日本同様に軍隊を送っていない国はいくつもあったし、イラク側に与する国（キューバ、ブラジル、ヨルダン、北朝鮮など）もあった。又どちらの側にも与しない国も多かったのも事実。それ等の国にとっては、イラクとクゥエートの問題よりも自国で起こっていること（貧困や紛争等々）の方が大変で、はっきり言って「関心がない」ということだったのかもしれない。
ただ、そういった国々に比べて、当時はGDPがアメリカに次いで世界第二位だった日本の場合、「金で済まそうとしている」と受け取られたのがクゥエートから感謝の言葉がなかった理由なのではないか―――という見方が日本国内では多かったようだ。（実際は、クゥエート政府がミスで単純に日本をリストから落としてしまった―――というのが真相だともいわれるが）
ロシアのウクライナ侵略に当って、今再び世界はウクライナ側とロシア側に分かれているようにも見えるが、インドや南アあるいはアフリカの多くの国々のように、旗幟を鮮明にせずにいる国も多い。いわゆるグローバルサウスと言われる国々だ。
確かに、彼等にしてみれば、ちょっと前まで自分達を植民地として搾取しまくっていた西側諸国が、いまさら正義面して「ウクライナを助けろ」「民主主義と強権政治の戦いだ！」などと言いだすのは、片腹痛い、ウクライナの面倒を見るぐらいなら、その前に自分達への償いをするなり、自分達を貧困から救え！といった思いが強いのかもしれない。
それなのに、あなたたちに、ウクライナ問題で「旗幟を鮮明にしろ」と迫られる筋合いはない！といったところなのかもしれない。
(3/02/23 10:00pm)
2023年3月2日
鶴の恩返し
暴君として悪名高いローマ皇帝カリギュラを描いた映画「カリギュラ」は、残虐シーンや性的に過激なシーンが余りに多いという理由で、上映禁止措置が取られたが、そのことが評判になって禁止措置に反して上映している劇場には、人々が殺到、空前の大ヒットとなったという。
おとぎ話の「鶴の恩返し」でも、「見てはいけませんよ」と言われていたのに機織りを覗いてしまった若者が恩返しの為に訪れていた美しい娘に化身していた鶴に去られてしまう―――という話だし、「あけないで下さいね」と乙姫様にいわれた玉手箱をあけてしまった浦島太郎がおじいさんになってしまうという話もあるように、洋の東西、古今を問わず、人と言うものは「やってはダメ！」と言われるとやってしまう習性があるようだ。
この禁止されると逆らいたくなる心理効果の事を「カリギュラ効果」などとも呼ぶらしいが、確かにコロナで外出自粛が要請された時期、都心のデパートにどうしても押しかけたくなる―――という人達が少なからずいたことなど、我々も日常よく見聞きする心理現象だ。
「勉強しなさい！」といわれると勉強する気を失うし、「誰にも言わないでね」と言われて聞いた話は、たちまちの内に町内に知れ渡っている―――などということも、よくあるカリギュラ効果と言ってよいだろう。人は基本的に自由でありたいという願望をもっているから、その自由が束縛されるとその束縛を解こうとすることで起きる現象だという説があるけれど、なるほどと思えるところもある。
そういえば、テレビコメンテーターなどの中には、大方の意見とは正反対の意見を述べることで「異なる視点からの貴重な意見」だとか「ユニークで面白い見解」などと言われて一躍世間の注目を集める―――等という人もいるけれど、あまりそんなコメントばかりだとそのうちにあきられて、その上、いらぬスキャンダルなどを暴かれて―――消えていく―――なんていうのひともいるから、「ユニークな意見」も多様するのも、よし悪し、だ。
人は、「やるな！」といわればやるし、「やれ！」といわれればやらないなら、この心理行動を使って、為政者が大衆を誘導することも出来そうだ―――すでにやっているかもしれないが。
(3/01/23 10:00pm)
2023年2月24日
旗日
2月23日は今年に入ってから4日目の祝日（天皇誕生日）だった。
日本の法律で定められた「国民の祝日」は、年間16日あるが、この祝日の数の多さは世界トップクラスに属するらしい。有給休暇が取りにくく国際社会から「働きバチ」などと揶揄された日本が、それなら、なるべく強制的な休日をもうければ少しは国際化するだろう―――とあれこれ理由をつけて「国民の祝日」を新設、増設したことで遂には年間16日という世界トップクラスの祝日数になってしまったらしい。（ちなみにアメリカ、フランス、ドイツは年間11日、オーストラリアは10日だとか）
タカさんの親の世代では、祝日の事を「旗日」といっていたのは、この手の祝日の際には、各家のかどかどに国旗を掲揚して奉祝の意を表す――といったことが行われ、国旗を掲げていない家は、なんとなく冷たい目で見られる―――というようなこともあったらしい。
いまから20年位前までは商店街の街灯には国旗の小旗がかざられたりしていたように記憶するが、この頃は関西の某商店街では祝日に国旗を一斉に掲揚している！とニュースで取り上げられる位だから、今や「旗日」などという言葉は死語になっているのも当然のようだ。
先日の建国記念日に買物に出たが、個人の家でも、あるいは商店街でも国旗を掲揚しているところは全くなく、唯一あったのは交番だけだったから、20年ほど前までの祝日の街の風景は気付かぬ間に一変していたということのようだ。
そうそう、「国旗はどこで売っているか？」という話が何年か前に、ネットで盛り上がったことがあって、その時は確か「デパートの風呂敷売場」だとか「スポーツ用品店」「おもちゃ屋」等々の意見が出て盛り上がっていたが―――今回あらためて調べてみたら「ネット通販サイト」というのがまず最初に出てきたのには妙に納得してしまった。
プーチンの演説に集まったロシア国民が手に手にロシア国旗をかかげ、ウクライナでも戦車から、何から翩翻とウクライナ国旗をかかげているし、アメリカでもフランスでもなにかといえば、人々が国旗を掲げて大盛り上がりしている。（そうそう、議事堂襲撃のトランプ支持者も皆国旗をかかげていたっけ）
それにくらべたら大相撲の千秋楽か、サッカー日本代表の試合ぐらいでしか国旗をみることがなくなっている日本は、ちょっと特殊な国ということなのだろうか？
(2/23/23 10:00pm)
2023年2月17日
鄭成功
近年、日本で生まれる赤ちゃんの約2％が両親のいずれかが外国人といういわゆるハーフだという。
この割合（新生児50人に1人）は、タカさんの子供時代に比べて飛躍的にふえている。かつては、島国だから国際化が遅れていて日本人ばかり――と言われた日本も遅ればせながら人口の国際化がはじまっているということなのかもしれない。
もちろん移民の国と言われるアメリカや、隣国と陸続きの大陸国である欧州や、他民族国家と言われる多くの国々に比べれば約2％というのはどれほどのことはない数字であり、第二外国語としての英語が話せる国民の割合でさえ10％に満たないといわれる日本が（欧州では概ね7割）国際化が始まっている等といったら、笑われるかもしれないが。
まあ、そうはいうものの日本でも国際結婚とその子供の歴史は、意外と古くからある。縄文時代にはすでに朝鮮半島や、中国沿岸から渡来人といわれる人達が渡ってきており、それらの人々と土着の和人とが、かなり混血したことがDNA解析でわかっている。
記録に残るところでは、遣唐使として唐に赴き、玄宗皇帝に使え李白や王維等の文人とも親交があったという阿倍仲麻呂も、現地の女性と結婚し男子を二人もうけたという記録があるようだ。（倭寇や、タイに渡った山田長政一族にしても現地の女性との間に子供を作ったに違いない）
そうそう、歌舞伎の演目「国姓爺合戦」の主人公、鄭成功は実在した人物で父は明の大商人、母は日本人で長崎生まれ、日本名、田川福松として長崎で育ち、その後中国に渡り台湾と大陸沿岸を占領したりしており、今も台湾と中国本土には英雄として大きな石像が飾られているという。（彼の弟は日本に残り父の後を継いで財をなしたという）
シーボルトも日本人妻との間に娘がいて、その娘が日本初の女医さんになったという話も有名だ。いまでもシーボルトの子孫は、何人か日本におられるという話だ。（シーボルトが世界に紹介した日本固有の花アジサイは、彼の妻のお滝さんの名をとってオタクサと名付けている―――中々ロマンチックな話ではないか）
阿倍仲麻呂や、鄭成功、シーボルトの子孫が今もいるという話を聞くと、いま50人に1人生まれているハーフの子供達の子孫も100年後、200年後の日本にはかなりの数になっているはずで、その頃には日本の国際化は、かなり進んでいる――のかもしれない。
(2/16/23 10:00pm)
2023年2月10日
世襲どうなる
福沢諭吉が「咸臨丸」でアメリカに渡ったのは1857年、明治維新の11年も前のことである。彼はアメリカで1776年にアメリカが独立を果たした時の初代大統領、ジョージ・ワシントンの子孫は、今どうしているか？と尋ねて回ったところ、誰もそれにこたえられなかったのという。
下級武士の息子であったがゆえに出世の道をとざされていたという経験から、「門閥制度は親の仇にそうろう」と「福翁自伝」に書いている彼にしてみれば、建国の父として国民の尊敬を集めるワシントンでさえ、その子供や孫たちがどうしているかに人々が、全く関心がないアメリカの民主主義、実力主義にいたく感心したようだ。（もっとも、諭吉は感心したものの、実はワシントンの次の大統領、2代アンダーソンの息子は第6代大統領だし、近年でもブッシュ親子のように、親子二代の大統領、あるいはケネディー家などの名門一族もいるから、かならずしも諭吉があこがれたほどにはアメリカに門閥政治家がない訳ではなく、近年はその傾向は却ってつよまってもいるようだ）
安部元首相の逝去と、体調不良で先週辞任した安倍元首相の実弟岸信夫元防衛大臣の後継を選ぶ、衆議院補選が4月に行われるが、この二人の選挙区のある山口県は、次回衆議院選挙では、例の10増10減のあおりを受けて、4選挙区から3選挙区に減ることもあって、今、選挙区調整が大変なことになっているのだという。
山口すなわち長州は、昔から保守王国で、初代首相の伊藤博文、山形有朋、桂太郎、寺内正毅、田中儀一、戦後も岸信介、佐藤栄作という兄弟首相を輩出しており、岸本首相の女婿である自民党幹事長を務め首相一歩手前まで行きながら亡くなった安倍晋太郎氏の息子である安倍元首相、そしてその弟の岸元防衛大臣の後継候補となれば、そこは当然、岸家、安倍家からでなければ地元後援会や企業も途方にくれるだろう。
政治家が急逝した場合、後継者はその子供や、配偶者がでてくるというのが、世襲制度が強く残る日本の政治風土であって、これはさすがにアメリカとは大分違うようだ。
安倍首相夫人の昭惠さんは、色々な意味で有名人ではあるものの後継出馬は固辞したそうだし、岸家でも手を上げそうなのは一人だけだというし、いずれ選挙区が減ることが分かっているとなれば、今回補選に手を上げそうなご仁もそう簡単には、見当たらないという話もきくと、明治以来の保守王国、そして岸・安倍家の牙城である山口の2補選の行方は、----野次馬的には面白そうだ。
(2/9/23 10:00pm)
2023年2月8日
サンマ塩焼きとブリ照り
近年はサンマの値段が上がっているらしくタカさんがよく行く定食屋でもサンマの塩焼き定食は、もう一年以上お休みとなっている。値段が上がっているのは、サンマを獲り過ぎた所為だとか、中国漁船が日本近海来てごっそりとっていくからだ―――いやいや、漁場が遠くなり折からの燃料費高騰もあって採算があわなくなってきているからだ等々様々にいわれてはいるが、海水温が上がってきていることも関係しているらしい。
海水温が上昇している、というのは、本当のようでサンマより少し高い海水温でも大丈夫というブリは、この近年は豊漁続きだという話も聞く。（そういえば、例の定食屋ではブリの照り焼き定食は、値上げもせず健在だ）
海水温の上昇の原因は、まだ科学的に特定されてはいないようだが、南極や北極の氷山が縮小しており、その為に極地域の氷や雪が反射して宇宙に戻っていく紫外線量が減ってしまいそれが水蒸気（雲）という温暖化ガスを作ってしまい、その水蒸気（雲）が熱をため込んで温暖化に拍車をかけて、海水温が上昇しているのだ―――という説が、今やかなり幅を利かせているらしい―――。
もっとも、温暖化の主犯ともいわれる水蒸気（雲）は一方では、太陽から降り注ぐ紫外線などから地表面をガードするという側面ももっており、水蒸気（雲）が多くなると、却って地表は寒冷化するのではないかという説もある―。
地球がその45億年の歴史で二度ほど経験した全球凍結（スノーボールアース）も、きっかけは氷や雪、そして雲が日光を全て反射して宇宙に戻してしまったことで、負の連鎖がはじまってしまったものだという説が有力だ―――。
まあ、このでかい地球で起こっていること、まして人類の短い歴史に比べれば実に壮大な時間スケールで起こっている海水温の少しの上昇の原因を厳密に特定し、それをどうにかしようと考えるのは、随分とおこがましいことなのかも知れない―――。
まあ、そう考えるとタカさんにできることといったら、サンマの塩焼きはしばらく諦めて、ブリ照りを食べることぐらいかも知れない。
幸いなことに、ブリもサンマ以上に好物でもあるし――。
(2/07/23 10:00pm)
2023年2月3日
必勝祈願
がんばるの語源には諸説あるが、「眼を張る」という本来威圧的な状態を表している使い方だという説が有力らしい。（入口でどっしりと頑張って見張っている―――等の場合に今でも使われている）
しかし、現代ではスポーツや選挙など様々な場面で、掛け声として「ガンバレ！」が使われている。（Jリーグリーグのガンバ大阪は、日本語の「ガンバレ」とイタリア語の「脚」を意味するガンバ、とをかけたらしいが）
タカさんも球場でマリーンズの応援する際には、この「ガンバレ！」をよく使うが、英語にはこのガンバレに相当する言葉はない。
Faght！だとかDo the best!などというではないか、と思うだろうが、これも、ガンバレばかリでは能がないからと、日本人が生み出した応援英語であってアメリカでは、まず使われない。個人主義意識の強いアメリカの選手にとって、Faght！だとかDo the best!と他人から命令調にいわれるのは迷惑だ！という意識があるからだとも聞いた。
これから試合に臨む子供達には「Enjoy」（楽しんで！）と声掛けをするのが良い、とも聞くが、日本では、ガンバレ！とEnjoyでは、意味が真逆なところもあり、子供は、頑張ろう！と思っていたのに楽しんで！と言われたらずっこけてしまいそうになるかもしれない。
いま受験シーズン真っただ中で、親御さんたちにしてみれば、やっぱり我が子には「ガンバレ！」と声をかけたくなるだろう。まさかこれから試験場に向かう我が子に「Enjoy」と声をかける訳にはいかないだろう。
そう、日本では子どもたちまでもスポーツは、ガンバルものであって、楽しむものではない、と思っているところがある。
スポーツにしろ囲碁、将棋にしてもガンバって、上手くなろうと思う前にあきてしまうタカさんは、結局どれも長続きしないから、得意技はない。（ルールもおぼつかない将棋にしても、最近はやりのプロ棋士などの対局の観戦を楽しむいわゆる「観る将」だ）
プロ野球の各チームがキャンプ入りに当って神社にお参りに行って「必勝祈願」をやったりしていたが、戦国時代の武将たちがそうであったように、日本では本来「ガンバレ！」よりも、神仏に必勝祈願をするのが合っているのかもしれない。
そういえば、湯島天神も合格祈願の受験生とその親や祖父母たちで随分にぎわっているようだ。
(2/02/23 10:00pm)
2023年2月1日
習近平さんに叱られる
中国の人口はインドに抜かれたとはいうものの14億人というから日本の10倍以上だ。2020年の全人代で、当時の李克強首相が月収が日本円にして1万６千円以下で暮らす中国人がまだ６億人いる、と暴露して話題になり「中国もまだまだ貧しい」という印象を持った人は多かった。
ところが一方では、スイスの銀行調べでは、中国には資産100万ドル（1億３千万円）以上という富裕層が一億人いて、この人数はアメリカの富裕層数を上回って世界一だという。
これらの数字を見れば、共産主義が理想とする「平等で弱者に優しい社会」とは真逆な不平等社会が、共産党独裁の国で花開いているということにもなる。（Newsweekによれば「中国人から見れば日本こそが、貧富の差が少ない、世界で、最も社会主義の理想に近い国だ」という）
まあ、それはともかく、1億人のミリオネアがいるという数字は凄まじい。お金持ちというのは概して、旅行好きだし「海外に資産を持って快適な生活を送りたい」「それができなくても、海外旅行をして美味しいものを食べたり、買物で散財したい」と考える人は多いだろう。
1億人のお金持ちがいて、更に4億人と言われる中間層（お金持ちとまではいえないが、貧乏人ではない人たち）の中にも、手ごろな海外にいって、ちょっと遊びたい、という人たちもいるだろう。
そう考える、彼等にとって近場の日本は、結構手ごろな旅行先でもある。中国人のお金持ちと、中間層、合わせて5億人の内１割がもし日本に押し寄せたら―――5000万人というとんでもない数字になる。
10年以上まえになるが、上海に行った時、中国人ガイドが「もし中国の富裕層がディズニーランドに押しかけたら、ディズニーランドは沈んじゃいますよ！」と冗談めかしていっていたが―――（その後東北大震災で実際ディズニーランドが地盤沈下したこともあったし）コロナの規制を緩和したために、今タイは中国人旅行客が押しかけて来て大変なことになっているというし―――やっぱり、しばらくは中国からの旅行客に対する水際措置は継続した方がいいような気もするが―――そんなことをいったら、又、習近平さんに激怒されるだろうなぁ～。|(参照：「ディズニーランドが沈む」2/25/10 ）
(1/31/23 10:00pm)
2023年1月31日
玉手箱
アインシュタインの相対性理論によると「速く移動するほど、止まっているものより時間の進み方が遅くなる」という。これは、高速で飛ぶ通信衛星に置いた時計と地上の時計とでは、時間の進み方ににわずかだが違いが出てしまうことで実証されていて、衛星から電波を受けるカーナビなどでは、この誤差は常時、修正されているという。
この速度による時間の進み方の違いは、例えば光速の99.5%で飛ぶロケットに乘って1年旅をして、地球に戻ってくると地上では、10年の月日が経っている、という計算になるそうだ。
このアインシュタインの理論を、初めて聞いた時、この時間差の話、日本のおとぎ話「浦島太郎」ですでに千年も前に語られていたことに思い当たった。助けた亀に連れられて、竜宮城を訪れた太郎は、乙姫様に歓待され鯛や平目の舞い踊りを見たり、山海の珍味を味わったりしてあっという間に三年を過ごした。里心がついて乙姫様にお暇乞いをして、土産にと玉手箱を貰って村に帰ってみると、村では既に300年が経っており、誰一人として知った人がいない。不安に思った太郎が、乙姫様に「絶対にあけてはいけませんよ」といわれた玉手箱をあけてみると、中から一筋の煙が出て、その煙を浴びた太郎は「あっという間に、おじいさん」になってしまいましたとさ」―――という話だ。
竜宮城にいた3年の内に、300年がたっていたというのだから、これはもう完全なアインシュタイン理論だ。（計算はちょっと合わないが―――）
それにしても、このおとぎ話、本当は結構怖い話だとおもう。コロナの外出自粛やら、リアルでの対面自粛が、3年にもなると、世の中随分と変わってきていて、この間に親しい人達の中には、亡くなった方もいるし、よく通っていた飲み屋の中には、潰れてしまったところもあり、浦島太郎が故郷に帰って感じた淋しさや戸惑いが、分かるような気がする。
太郎は、村の子供達にいじめられている亀を助けたことが元で、こんな目にあってしまったというのなら、亀を助けるべきではなかったのだろうか？ いやいや助けたのは良しとしても、亀の誘いに乗ってひょいひょいと竜宮城に行ったのがいけなかったのか（甘言に乘ってひょいひょいとキャバクラに入ってしまったように）、いやいやそこまではよいとしても、いくら面白い、楽しいからといって3年も遊んで暮らしたのがいけなかったのか―――？？「あけちゃダメ」といわれた玉手箱をあけたのがいけなかったのか？ この浦島の話、タカさん自身、何か、身につまされるところもないではない話だ。
(1/30/23 10:00pm)
2023年1月27日
早い者勝ち
アメリカにヨーロッパ人が本格的に入ってきたのは1620年、イギリスで宗教的迫害を受けていた清教徒（ピューリタン）が、メイフラワー号に乘ってきてボストンに街を拓いたのがはじまりで、それから約150年後には東海岸の13州が本国イギリスからの独立を果たしてアメリカ合衆国がはじまったのだ。メイフラワー号がアメリカに着いた時は、日本では既に江戸に徳川幕府ができていたし、独立した時には平賀源内がエレキテルを作って人々を驚かせていたのだから、アメリカがいかに若い国であるかがよくわかるだろう。
アメリカへの移民は、メイフラワー号のピューリタンをはじめイギリスからの、貧しい農民を中心とした人々であったが、なにせ北米大陸は、広大で豊かな土地であり、農業資源や、森林資源、動物の毛皮等の高価な資源にも恵まれていたこともあって、彼等がエリート層を形成していくのにそれほど時間はかからなかった。
このエリート層を形成した一番乗りグループの人々、即ち、アングロサクソン系白人プロテスタント教徒（WASP）は、今もアメリカ社会のエリート層を占めていて、後に移民してきたラテン系やゲルマン系、スラブ系、あるいは同じ白人でもカソリック教徒やユダヤ系よりもエリート意識は強いと言われている。まして、労働力として集められたり、連れてこられたアジア系や、アフリカ系、ネイティブアメリカンは、どうしても差別を受ける側に回されてしまうのは、やっぱり「誰が一番早く来て国を拓いたとおもってんだよ！」というWASP側の意識が、差別する側にもされる側にも今も潜在的にあるからではないか―と思わないではない。
今、メキシコ国境には、合法、不法を含めてアメリカ移住を求め南米から人々が押し寄せている。「これ以上の移民は受け入れられない！」とすでにアメリカ国民となっているかつての移民とその子孫たちは、国境に壁を作り、重火器までもって厳重警備を敷いている。貧しい人達が大量に入ってこられては、その面倒を見る費用だけでも莫大で、しかも彼等が安い労賃で自分達の仕事を奪って行けば、自分達の生活はどうなるのだ！と怒り狂う人たちが、多いともいわれている。（例えは悪いが、ちょうどいい湯加減の湯舟にゆっくりとつかっていたら、ドカドカと垢だらけの客が大量に入ってきては困る！とでもいうのだろうか）
昔「二位じゃだめですか！」といって顰蹙を買った代議士さんがいたが、移民に関してはやっぱり早い者勝ちということはあるようだ。
(1/26/23 10:00pm)
2023年1月25日
スモールイズビューティフル
指揮者山本直純が気球に乗って歌う「大きいことはいいことだ」という板チョコのCMが一世を風靡してから数年後、大量生産、大量消費に対する世間の反省の気分が漂い始めた頃、経済学者、シューマッハーが唱えた「スモールイズビューティフル」（小さいことはいいことだ）に日本人が飛びついたことがあった。日本人の今も変わらぬ、定見のなさと付和雷同ぶりに、笑いを禁じえなかったことを思い出す。
シューマッハーは、経済学者だが大量生産、大量消費の源ともいえるイギリスの石炭公社の顧問も務めていたから、（彼の主張と、どうも真逆で）なんだか聞いていると、ゲシュタルト崩壊を起こしそうにもなったが――、彼の唱えた「スモールイズビューティフル」は、後に起こるエネルギー危機を言い当て、大量消費が、人の幸福度の指標だとする経済学や、科学万能主義に疑問を投げかける説として、現在世界が抱える矛盾を半世紀も前に言い当てていたということになる。
彼は、自然の中で多くを持たずつつましく、しかし精神的には豊かに暮らしている仏教徒たちの暮らしに感銘を受けて「スモールイズビューティフル」を唱え始めたともいわれるから、決して新しい思想というわけではなく、人間本来の根源的なありかたともいえる理論でもある。
今も、エネルギーの争奪から、人々の争い、環境破壊が進んでいることを思えば、やっぱり大きいことよりも、小さいことのほうが、良いのかもしれない。
そうそう、平均体重が5トンにもなる象は、一日100キロの草や野菜を食べねばならないから起きている時間のほとんどは食事に費やさなければならないから大変だ。もっとも、体重が軽ければカロリーは、少なくて済むかというとそんなこともないようで、ネズミは体は小さいが体重の割には発熱量が多くこれも一日中食べているというから彼等も大変だ。
そういえば、西欧の人々に比べると、今でも日本人は概して小柄な方だが、平均寿命は世界トップレベルだ。小柄ということは、エネルギー消費が少なくて済む、すなわち少ない食糧で体を維持することが出来る訳で―――総人口がますます増えていくこれからの世界では、小柄でエネルギー消費が少なくて済む日本人は、多少有利ではないだろうか。
やっぱり「スモールイズビューティフル」なのでは？？
(1/24/23 10:00pm)
2023年1月20日
カラスの行水
わんぱくな男の子は風呂に入るのが嫌いで、母親からうるさくいわれると、形だけ浸かってあっという間に出て来て又叱られるなんていうことがよくある。短い時間の入浴のことを「カラスの行水」というが、これはカラスが一瞬水浴びをして羽やくちばしを整える様子と、早風呂とをかけた慣用句だ。（まさに言い得て妙だ）
水兵に水浴びをさせるアメリカ海軍の艦艇では、水が貴重なので、事前に石鹸を体に塗った水兵を一列に行進させ、頭上から一瞬シャワーを浴びせるという方式――-ネイヴィーシャワーという―――をやっているという。
一般的な浴び方で10分間シャワーを使うと、大体230リットルの水を消費するのに対し、-ネイヴィシャワーだと11リットル弱しか使わないというから一般人も日ごろ、ネイヴィーシャワーをやれば、1人あたり年間56,000リットル以上の水資源削減につながるという。
地球環境の保護の為にも水使用の削減が叫ばれる昨今、ネイヴィーシャワーの普及キャンペーンなんていうのも案外望ましいかもしれない。（ついでにカラスの行水も推奨――等とという訳にはいかないだろうが）
タカさんは、最近では冬至の日のゆず湯と、正月の初湯では、湯舟につかったがそれ以外の日はシャワーを浴びるだけで済ませてた。多分、湯舟につかるの年間の時間では、あの地獄谷温泉のニホンザルや、カピパラにも負けていると思う。
そうそう、地球環境を守れ！とあちこちで大活躍中のグレタさんは、水資源保護の為に、ネイヴィーシャワーかカラスの行水を実行しておられることと思うが―――。
(1/19/23 10:00pm)
2023年1月13日
バベルの塔
旧約聖書の「創世記」には、バビロンに住む人々が、天にも届く神の領域まで手を伸ばす塔を建設しようとして、巨大な塔を築き始めたが、現場の上と下での意思の疎通が難しくなり、結局このプロジェクトは失敗に終わってしまった―――というバベルの塔の話が出て来る。今ならば無線通信やドローンなどもあるから、あのバベルの塔のような失敗もないだろうとは思うが―――。「バカと煙は高い所が好き」というが、（タカさんも小さい頃から高い所が好きだが）、なぜか昔から人類は、高い所に憧れをもってきたようだ。
現在、ビルとして一番高いのは、ドバイにあるブルジェカリファで、高さ828メートル、206階建てだそうだが、建設中のものとなるとサウジアラビアのジェッダタワーで、これは先端部分が塔になっており、居住部分だけだと167階だというから、ブルジェカリファーよりはビルとしては―――どうなのだろう？
建設計画中の物としては、ドバイに高さ何と2400メートルという計画があり、日本にも東京湾に高さ1700メートル、55000人が居住可能という「スカイマイルタワー」の計画もある。（完成予定は2045年とのこと）
人類の高さへの憧れは、旧約聖書の時代と変わりなく、又尽きることがないようだ。
ところで、コロナが流行し始めて以来、オフィスには行かず広々とした田舎でリモートワークをする―――というライフスタイルがはじまったと随分話題になったが、都心型の高層オフィス、高層マンションブームは、あのリモートワーク、地方移住ブームとはどういう関係にあるのだろうか――――？？
リモート生活をやってはみたが、やっぱりリアルの方が---仕事の効率は良いし、仕事や私生活にもメリハリがある―――等という人が出て来たり、飲み会にしても缶ビールと枝豆をデスクにおいてモニター相手に飲み会に参加しても白けるばかり―――なんていう人達が都心回帰するだろうから―――などということでもあるのだろうか。
そういえば、3年前に大学に入った若い人たちのなかにも、キャンパスライフはないし、リモート授業ばかりで友人も出来ず―――精神的に不安定になってしまったという人が多いとも聞くが―――。
(1/12/23 10:00pm)
2023年1月10日
敗戦国の国民
「あなたは勝つものと思っていましたかと老いた妻がさびしげに言う」と敗戦直後に詠ったのは、当時60歳だった歌人土岐善麿である。
それまで勝ち戦しか知らなかった日本人が初めて経験する敗戦という衝撃にいかに対処したのかは、戦後世代の我々は想像するしかないが、きっと多くの日本人の心の中には、この土岐善麿夫妻の会話のような感情が押し寄せていたに違いない。
戦後、「実は自分は戦争には最初から反対だった」「あんな馬鹿なことをした責任は軍部や軍閥、新聞などにあるのだ」と主張する人が続出したというが、しかし、戦時中には、子供から大人まで、国民のほぼ全員が、少なくとも戦争反対の声を上げずにいたことは事実だったろう。
ウクライナ侵攻を続けるロシアのプーチン大統領の支持率は、昨年12月時点で8割に達するという。戦争中の日本と同じく、厳しい情報統制と組織的な世論誘導が行われ、様々なフェイクニュースばかりを聞かされているから――という事情はあるだろうが、1億5千万のロシア人の8割が、ウクライナ侵攻を圧倒的に支持している、というのだから、今のロシアは、第二次大戦中の日本と同じ状況にであるのではないだろうか。
まだまだ、長引きそうだと言われるロシアのウクライナ侵略がいつどのような形で終結するのか、しないのかは予測もつかないが、その決着がロシア側にとっての全面勝利で終わる可能性は、ほとんどなく「プーチンは、いつまでも幸せにくらしましたとさ」というようなこともないのも又確かだろう。
さて、そうなった時、いまプーチンに80％の圧倒的支持を与えているロシア国民は、なんと言うのだろうか。「自分は、最初からこの侵攻には反対だった」とか「自分達はプーチンに騙された、いわば被害者の一員である」といった、敗戦直後の日本人と同じことをいいだすのではないか――という気がしないではない。その時、ロシアの夫婦間でも、土岐善麿夫妻のような「あなたは勝つものと思っていましたかと老いた妻がさびしげに言う」といった風景がくりかえされるのだろうか。
(1/09/23 10:00pm)
2023年1月6日
恩知らず
新年もまず温暖化問題で大騒ぎだ。特に「日々早々」でも度々言及しているように、今や地球温暖化の主犯扱いされて悪くいわれるのが石炭だが、日本の国産エネルギーとしてもてはやされ一大産業であったのはそんなに昔の事ではない。
日本の石炭は、豪州などの露天掘りのできる形では存在せず、地中深くに鉱脈があるために表土の割合（剝土比）が大きく坑内掘りにならざるを得ず、度々大きな事故で多くの人命が失われたこともあって、次第に安価に手に入る外国産の液体化石燃料である石油にとってかわられた。
そんな訳で、今や国内の炭鉱はほぼ全てが廃坑となり負の遺産などと呼ばれるに至っている。（石炭を駆逐した、石油や天然ガスでさえ温暖化ガスとして今や追われる身になっているが）
石炭は今から3億年程前の「石炭紀」に倒れ地中に埋まった植物化石である。石炭紀には植物繊維であるリグニンを分解する白色腐朽菌類がまだいなかったために当時の倒木が地中で腐ることがなく堆積し石炭層を作ったのだ。
イギリスに始まって人類史を大きく変えた産業革命は、石炭という化石燃料を利用した蒸気機関によって始まり、その産業革命が、今日のそして未来社会へとつながる近代文化、文明の始まりとなったことを思うと、なんとなく現代の石炭なり化石燃料に対する人々の「冷たい仕打ち」は、あまりにも「恩知らず」過ぎはしないか――という気もしないではない。
その石炭だが、世界中にまだまだ埋もれている採掘可能量だけでも1兆トンあると言われている。まだまだ大量にある資源ではあるが、今の化石燃料憎しの社会趨勢からすれば、再び深い眠りにつかざるを得ないだろう。まあ、石炭にしてみれば3億年もの長い眠りの後、ほんの250年程、眠りを覚まされたが再びゆっくり眠れる時が来た、ということかも知れないが。
歴史はくりかえすというから、今、ちやほやされている太陽光パネルや、洋上風力なども、その耐用年数が過ぎて、常温核融合などという新たなエネルギーが開発されれば、廃棄処理困難物件あるいは解体費用がかさみ過ぎる無用の長物として人々に厄介者扱いされ、毛嫌いされる時代が来るのだろう。
(1/05/23 10:00pm)
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